

第1話 午前一時半 駅前の銅像の前。 その日、正邦の緊張はピークに達しようとしていた。約束の時間と場所であたりを見回す。すぐにメールにあったいでたちの女性を見つけることができた。 所在無さげに銅像の脇に立ち時折、内巻きにつけて腕時計を見る女性。 色白のすらりとした二の腕をあらわにした薄水色のニットに栗色のショートカット。たすきがけにした小さなポシェットが決め手の目印となった。 彼女が腕時計の時刻と回りを交互にみやるところを正邦は見計らうように近づいた。近くで見ると小柄な女性だということがよくわかった。 「あのカスミさん…ですか?」 「え?」 声をかけられると正一の目の下あたりにある女性の顔が視線を上げた。 まだあどけなさが残るパッチリとした瞳と視線がぶつかった。女性はアーモンドのように形のよい瞳をぱちりとさせると口を開いた。 「あのマサさん…ですか?」 年上の女性とは思えない可愛らしい声にドキッとなる。何度も呼ばれている愛称だがこうして声に出されるのは初めてだった。 「はい…」 香澄はこちらを覗き込んだかと思うとぱっと正一の服装と顔立ちを交互に見比べると顔をほころばせた。お互いが約束の相手だとわかるネットでのハンドルネームが決め手となった。 「はじめまして」 鈴を転がしたようなかわいらしい声で微笑んだ。 「あの、赤ちゃんはどうしたんですか?」 正邦の問いにカスミは顔を上げる八重歯を見せて笑う。 「ちゃんと託児所に預けてきたよ」 これが僕の人生で初めて母乳を口にした女性。 授乳フレンドの安立香澄との出会いだった。 ※表紙にAIを利用しています
— FANZA 作品ページより
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